考え抜かれた”シンプル”に徹すること
日々の習慣や行動はもちろんのこと、大げさに言えば、なにを選ぶかによって人格が形成されるという一面があると思いますが、私達は以下のような考えかたで製品を作り、販売をしています。
デザインと料理というのは根源は同じものであると考えています。 料理の心にも通じますが、本来の素材が良ければ良いほど、味付けに頼る必要もなく、手を加える必要も減ってきます。モノづくりのこころもそれと同じで、厳選された素材と考えぬかれたデザインが本当によければ、素材の粗を隠す加工をすることも無ければ、余計な装飾もいらないはずです。
本来求められる機能を充足させることだけを考えれば、鞄にしろ財布にしろスッキリとした佇まいであるほうが美しく、また生活を向上させることもできると考えます。財布を例に取ると、あまり使わないカードを何十枚も持ち歩くより、厳選された少数のカードで身軽に動いたほうが、実はお金の管理もしやすく、特定の店のカードポイントに振り回されて無駄な買い物をすることも無いわけです。小銭入れもカードケースも余分と思われる収納スペースを一切配置していません。普段使わない箇所にうっかり入れてしまったものは、後で見つけることが難しくなります。
要望に応えて足し込んでいくのは実に簡単です。反対に本質的な機能を損なわず、むしろ向上させるために機能を削ぎ落としてゆくことは大変難しいのです。だからこそチャレンジします。
・寄り添う価値を感じてもらうこと
モノは所詮モノでしかありません。だけれども場合によって、多くは強い人の想いが介在した場合、想定したよりもずっと長くモノの価値が人々の心に残ることもあります。
例えば大事な人から贈られた贈り物の価値は金額の多寡や希少性によるものではないでしょう。あるいは作り手が使う人のことをどれだけ想って作ったかによって、受け取る想いの総量は変わりますし、大量生産品であれ少量生産の手工芸品であれ表面的には見えづらい場合もありますが如実にその成果、出来栄えに差を生み出します。
独善的な押し付けでは無いが、モノの良さ美しさの価値なんてものは受け手がどう受け止めるかでしかなくて、感じ取る想いの総量に依るのでしょう。
大事な大事な贈り物として選んでもらえる価値があるのか、それはあくまでもお客様の判断に委ねるのしかないのですが、少なくともそれに見合うだけのものを提供できるように日々真摯に考えています。