終電を乗り過ごした後の身の処し方は人によって多種多様で、時としてドラマチックですらあります。
上京してから、深酒による寝過ごしで数限りない終電後の世界を見てきましたが、振り返るとなかなか面白いものです。
複数人と一緒の場合は飲み屋、カラオケ、ファミレス、誰か近い人の家に泊まるなんていうのが定番ですが、1人の場合は他人に気を遣わなくて良い分、選択肢が大分広がります。
乗り過ごし地点が繁華街でかつ、お金に余裕がある、体力に余裕がある場合は漫画喫茶が良いでしょう。
一晩というのは寝なければ大分長いので、普段は読む機会の無い漫画を全巻読むことも可能です。
あんまり眠いときは、贅沢してビジネスホテルなんていうのも良い選択ですね。ホテルのベッドはだいたい高品質なので寝心地もいいですし、朝起きてからの長風呂は二日酔いをすっきり覚ましてくれます。
懐が寂しいとき、酔いがそこまで深く無い場合は、家を目指して歩き通すのも悪くはありません。
ある時、周りに店も無くタクシーも拾えないような山あいの駅で目を覚ました時はさすがにどうしようかと思いましたが、夜通し真っ暗な山道やら住宅街をさまよい歩き、朝方にようやく繁華街にたどり着いた時の感動は忘れられません。
大雪の日に仕事で終電を乗り過ごし、スーツ姿で宿を求めてずぶ濡れで街をふらふら歩いたこと、途方も無くお金が無いときに公園で野宿をしたのは新宿での出来事でした。
寒空の中、段ボール一枚がどれほど身を守ってくれるか、雪の中で防水機能の無い靴を長時間履くのがどれほど危険なことか、なんてことはもしかしたら日常生活ではまったく必要無い知識かもしれませんが、そんなろくでもない経験ほど思い返すと大事な思い出になっているので、不思議なものですね。